「くしゃみは新幹線並みの速さ」と言われてきた理由
「くしゃみの速さは新幹線並み」という話も、多くの人が耳にしたことのある雑学のひとつではないでしょうか。時速300キロを超えるという、かなり衝撃的な数字で紹介されることが多い話です。
この数字のもとになったのは、今から60年以上前に、ある研究者が発表した推定値だといわれています。結核などの感染症の研究をしていたその研究者は、くしゃみの速さをおよそ時速360キロと推定しました。これは新幹線の最高速度を上回るほどの数字です。
この数字は非常にインパクトがあったため、雑学として長く語り継がれてきました。ただし、当時の測定方法は、今の技術ほど精密なものではなかったとされています。
近年になって、より精密な機材を使った研究がいくつも行われるようになりました。その結果、これまでの常識をくつがえす数字が明らかになっています。
実際の研究で分かったくしゃみの本当の速さ
近年の研究では、くしゃみの速さは一般に言われてきたよりもずっと遅いことが分かってきました。ある研究では、20代の人たちを対象に調べたところ、くしゃみの速さはおよそ時速16キロ程度、つまり人が全力で走るくらいの速さだったと報告されています。
別の研究では、時速25キロほどという結果も出ています。研究方法や個人差によって数字に幅はあるものの、いずれも新幹線には遠く及ばない速さです。
実は多くの人が知らないのですが、こうした最新の研究結果が広まった今でも、「新幹線並み」という昔ながらの話のほうが根強く語り継がれています。インパクトのある数字は、一度広まると訂正されにくいものなのかもしれません。
とはいえ、時速16キロや25キロでも、鼻や口から一気に空気が飛び出す勢いとしては十分に強いものです。次のページでは、この速さを実際にどうやって測ったのか、その実験の様子を紹介します。
