くしゃみで心臓が止まるわけではありません
ここまでいろいろな角度から見てきましたが、結論をお伝えします。くしゃみをしても、心臓が本当に止まってしまうわけではありません。
くしゃみをするときは、思いきり息を吸ってから一気に強い力で吐き出します。この一瞬の間、胸の中の圧力が大きく変化し、心臓に戻る血液の量や、血液を送り出す勢いも一時的に変わります。
その結果、脈のリズムがふだんと少し違うものになり、脈が一拍飛んだように感じられることがあります。これが、多くの人が「心臓が一瞬止まった」と感じる正体だと考えられています。実際には心臓が停止しているのではなく、リズムが一瞬揺れているだけなのです。
専門家の資料でも、くしゃみで心臓が完全に止まるのは特別な場合であり、普通の人であっても、くしゃみの間は一時的に脈がゆっくりになることが予想される、と説明されています。この「一時的に脈がゆっくりになる」という部分が、この噂の正体に近いといえそうです。
一時的に脈が乱れる仕組みを医学的に見る
この仕組みをもう少し詳しく説明します。息を強く吐き出すことで胸の中の圧力が急に高まると、体に戻ってくる血液の量が一時的に減ります。すると、脳や体は血圧の変化を感知して、自律神経を通じて心臓の動きを調整しようとします。
この調整の過程で、脈が一瞬ゆっくりになったり、逆に速くなったりすることがあります。息を強くこらえてから吐き出す動作は、実は医療の検査でも使われることがあるほど、体にはっきりとした変化を起こす動きなのです。
くしゃみによって耳や鼻の神経が刺激されることも、この変化に関わっていると考えられています。複数の神経の反応が重なって、「ドクン」という独特の違和感につながっているようです。
答えが分かったところで、まだ気になる点が残っています。なぜこの一瞬の変化を、私たちは「止まった」とはっきり感じ取ってしまうのでしょうか。次のページで詳しく見ていきます。
