学校で使われる地図は、どうやって選ばれている?
日本の学校でも、教科書や地図帳には今もメルカトル図法をベースにした世界地図が多く使われています。これは間違った地図というわけではなく、位置関係や形を把握しやすいという利点があるためです。
一方で、地図帳の中には、面積を正確に比べるための別の図法のページが用意されていることもあります。1つの地図帳の中で、目的に応じて複数の図法を使い分けているケースは意外と多いのです。
気をつけたいのは、地図を見るときに「これは何を正確に表そうとして作られた地図なのか」を意識することです。形を見るための地図なのか、面積を比べるための地図なのかによって、受け取り方を変える必要があります。
この視点を持っておくだけで、地図を見たときの誤解をかなり減らすことができます。
面積を正確に描く、もう1つの地図の存在
先ほど紹介した「ガル・ピーターズ図法」は、面積の比率をなるべく実際に近づけることを重視した地図の代表例です。
この図法は、1974年にドイツの歴史学者アルノ・ピーターズによって発表されました。ただし後になって、19世紀のイギリスの牧師で地図製作者でもあったジェームズ・ガルが、すでに同じ仕組みの図法を考えていたことがわかり、2人の名前を合わせて呼ばれるようになったとされています。
面積を正確にする代わりに、この図法では陸地の形が上下に間延びしたような、独特な見た目になるという特徴もあります。何かを正確にすれば、別の何かが崩れるという、地図作りならではの宿命がここでも見え隠れします。
では、もしもメルカトル図法という発明そのものが、この世に存在していなかったとしたら、世界の歴史はどう変わっていたのでしょうか。
