大きさ以外にも、地図が歪ませているもの
ここまでは主に「面積」の話をしてきましたが、実はメルカトル図法がゆがませているのは面積だけではありません。
地図上で2つの地点の間の直線距離を測っても、それがそのまま実際の距離を表しているとは限りません。とくに高緯度の地域をまたぐ場合、地図上の見た目の距離と、実際に飛行機や船で移動する距離には、かなりの差が生まれることがあります。
たとえば飛行機の国際線の航路が、地図上では大きく弧を描くカーブのように見えることがあります。あれは遠回りをしているのではなく、地球儀の上ではむしろ最短距離に近い、というケースも珍しくありません。
面積だけでなく距離の感覚も、平らな地図の上ではズレることがある、というのは覚えておいて損はないポイントです。
距離感覚のズレに注意したい理由
この距離のズレも、面積のズレと同じく、緯度が高くなるほど大きくなる傾向があります。赤道付近であれば、地図上の距離感と実際の距離感はそれほど大きくは違いません。
しかし北極や南極に近づくにつれて、地図上で見える距離と、実際に移動する距離との差はどんどん広がっていきます。地図の上では遠く離れて見える2つの地点が、実は地球儀の上ではかなり近い、ということもあり得るのです。
旅行の計画を立てるときや、世界情勢のニュースで距離感を掴みたいときには、平らな地図だけでなく、地球儀やデジタル地図の立体表示も合わせて見てみると、より正確な位置関係がつかみやすくなります。
さて、ここまでかなり多くの手がかりが揃いました。次のページで、いよいよこの「地図の錯覚」の正体をはっきりさせていきます。
