地図の誤解が、社会的な議論になった出来事
この地図の大きさのズレは、単なる豆知識にとどまらず、実際の教育現場を動かす出来事にもつながっています。
2017年、アメリカのマサチューセッツ州ボストン市にある公立学校、約600校が、授業で使う世界地図をメルカトル図法から別の図法へと切り替えたことがニュースになりました。
切り替え先に選ばれたのは「ガル・ピーターズ図法」と呼ばれる、面積の比率をなるべく正確に保つことを重視した地図です。ボストンの教育関係者は、赤道に近い国々の存在感が、これまでの地図では実際より小さく見えていたことを問題視したとされています。
アメリカの公立学校でこの図法を標準として採用したのは、この学区が初めてだったといわれています。地図の描き方1つが、教育の現場にまで影響を与えた興味深い事例です。
アメリカの人気テレビドラマでも取り上げられた話
実は、地図の大きさをめぐるこの話題は、アメリカで大ヒットしたホワイトハウスを舞台にしたドラマシリーズでも取り上げられたことがあります。
作中には「地図の社会的公平のための地図製作者団体」という架空の団体が登場し、大統領府の広報担当者に対して、学校で使う地図をメルカトル図法から別の図法に変えるよう提案する、というエピソードが描かれています。
この団体は物語上の架空の設定ですが、劇中で語られる「メルカトル図法が、赤道に近い地域の存在感を小さく見せてしまっているのではないか」という問題提起は、現実の地図学の世界でも実際に議論されてきたテーマだと一般には言われています。
フィクションの世界にまで取り上げられるほど、この地図の話は根深いテーマだということが伝わってくるエピソードです。では、学校の教材としては、実際にどんな地図が選ばれているのでしょうか。
