答え:メルカトル図法は、高緯度ほど陸地を大きく見せる
ここまでの内容をまとめると、答えはこうです。一般的なメルカトル図法の世界地図では、赤道から離れて緯度が高くなるほど、実際の面積よりも陸地が大きく表現されます。
これは地図の間違いや欠陥ではなく、航海の際に角度を正しく保つという目的のために、あえて選ばれた設計上の特徴です。角度を優先した結果として、面積の正確さが犠牲になっている、という関係にあります。
グリーンランドがアフリカと同じくらいの大きさに見えたり、ロシアが実際以上に広大に見えたりするのは、すべてこの「高緯度ほど拡大される」という規則的な仕組みによるものです。
1569年の発表から現在まで、この図法をベースにした地図が世界中の教室や書籍で使われ続けてきました。長い年月をかけて「地図の大きさ=そのままの現実」という思い込みが、多くの人の中に自然と根づいていったと考えられます。
なぜこの錯覚は、これほど長く気づかれにくかったのか
これだけ大きなズレがあるにもかかわらず、なぜ多くの人はこの錯覚になかなか気づかなかったのでしょうか。
理由の1つとして考えられるのは、私たちが普段、地図を「形や位置関係を知るための道具」として使っていて、「面積を正確に比べるための道具」としてはあまり使ってこなかった、という点です。
また、生まれたときから同じ形の地図を見て育つと、それが「唯一の正しい世界の姿」であるかのように、無意識のうちに刷り込まれてしまう、ということも影響していると考えられます。
答えが分かったところで、この話にはまだ続きがあります。次のページからは、この錯覚が生まれた背景をさらに深掘りしつつ、似たような例や、意外な後日談を紹介していきます。
