イギリスは硬貨の種類ごとに金額の上限がある
イギリスのお金は「ポンド」で、その100分の1が「ペンス」です。日本でいえば円と、昔の銭のような関係だと思ってください。
イギリスには1971年にできた硬貨の法律があり、そこに支払いの上限が書かれています。いちばん小さい1ペンスと2ペンスの硬貨は、合計20ペンスまで。5ペンスと10ペンスは5ポンドまで。20ペンスと50ペンスは10ポンドまでです。
面白いのは、1ポンド硬貨と2ポンド硬貨には上限がないことです。イギリス王立造幣局の説明でも、これらは金額の制限なく通用するとされています。小さな硬貨ほど厳しく、大きな硬貨は自由、という分け方です。
日本の決まりが「同じ額面の枚数」で数えるのに対し、イギリスは「合計いくらまで」で数えます。同じ目的の決まりでも、国によって物差しが違うわけです。
上限がないアメリカで起きた「30万枚の1セント」騒動
一方のアメリカには、硬貨の枚数や金額の上限がありません。国の説明でも、アメリカの硬貨と紙幣はあらゆる債務や税金の支払いに使える、とされています。
その結果、2017年にこんな出来事が起きました。バージニア州の男性が、車2台分の税金およそ2987ドルを、すべて1セント硬貨で支払ったのです。持ち込まれた硬貨は約30万枚。手押し車5台に分け、重さは1600ポンド、日本の単位で約720キロにもなりました。
役所の硬貨計算機は途中で止まってしまい、職員は手作業で数えることになりました。作業は深夜まで続いたと報じられています。役所の対応に腹を立てた男性が、あえて手間をかけさせるために行ったものでした。
こうした話を聞くと、日本の上限は「お店を守るためのもの」だとよくわかります。ところで、自動販売機が小銭を戻してくるのも、この法律のせいだと思っていませんか。次のページで、その勘違いを解いていきます。
