なぜ「枚数」ではなく「20倍」と書かれているのか
条文が「20倍」という掛け算の形になっているのには、実用的な意味があります。額面ごとに金額を書き並べる必要がなくなるからです。
イギリスや戦前の日本のように金額で決める方式だと、硬貨の種類が増えたり減ったりするたびに、法律の数字を書き直さなければなりません。20倍という決め方なら、新しい額面が生まれても計算式は同じままです。
実際、1982年に500円玉が登場したときも、上限は自動的に1万円と決まりました。将来もし新しい額面の硬貨ができたとしても、その20倍が上限になるわけです。
なお、なぜ「20」という数字が選ばれたのかについて、条文の中に理由は書かれていません。少額の支払いに使う道具として不便にならない範囲、という考え方が背景にあるとされています。
記念硬貨にも同じ「20倍」が使われていた
この20倍という考え方は、実は今の法律ができる前から使われていました。分かりやすい例が、記念硬貨です。
1986年に作られた、昭和天皇の在位60年を記念する硬貨の法律を見てみましょう。そこには、10万円の硬貨は200万円まで、1万円の硬貨は20万円までを限度に通用する、と書かれています。どちらもちょうど20倍です。
つまり、当時から額面の20倍という線引きが実務上使われており、1988年の法律でそれが一本化された形になります。もちろん今の記念硬貨も、額面のお金として20枚まで使えます。
ただし、記念硬貨を額面で使うのはもったいない場合もあります。次のページでは、21枚以上でも受け取ってもらえる場面と、レジで気持ちよく小銭を使うコツをまとめます。
