戦闘時間についてよくある勘違い
この戦争についてよく見かける勘違いのひとつが、「38分」という数字を絶対的な正解だと思い込んでしまうことです。実際には、資料によって「38分」「40分」「45分」など、少しずつ違う時間が紹介されています。これは、いつを開戦の瞬間とし、いつを終戦の瞬間とするか、資料ごとに基準が異なるためだと考えられます。
砲撃が始まった時刻を9時2分とする記録が多い一方、宮殿の旗が落とされた時刻や、実際に砲撃がやんだ時刻については、9時40分ごろとする記録と、9時46分ごろとする記録の両方が存在します。どの基準を採用するかによって、38分になったり40分になったり、多少の幅が出てくるわけです。一般的には「38分」という数字がもっとも広く紹介されていますが、条件によって数分の違いがあることは知っておくとよいでしょう。
当時の記録者たちはどう伝えていたのか
この戦いの様子は、当時のイギリスの新聞や雑誌にも大きく取り上げられました。たとえば「イラストレイテッド・ロンドン・ニュース」という雑誌には、燃え上がる宮殿を砲撃するイギリス軍艦の様子を描いた挿絵が掲載されたと伝えられています。
こうした記録の多くは、イギリス側の視点で書かれたものです。当時のイギリスの報道では、この出来事を「文明化の使命」を果たす行為として、やや誇らしげに伝える論調も見られたとされています。一方で、ザンジバル側の視点からの記録は、イギリス側の記録に比べると数が限られているとされています。歴史上の出来事を振り返るときには、こうした記録の偏りがあることも、頭の片隅に置いておくとよいかもしれません。
