新しい王ハーリドとはどんな人物だったのか
ハーリド・ビン・バルガシュは、当時20代後半だったとされる人物で、亡くなった王ハマドのいとこにあたります。歴史をまとめた資料では、ハーリドはイギリスの介入に対して不満を持つ勢力から支持を集めていた人物として描かれることが多いです。当時のザンジバルには、イギリスの影響力が強まることを快く思わない層が一定数存在していました。
ハーリドは、そうした人々の期待を背負う形で、実力での王位継承に踏み切ったと考えられています。一方でイギリス側は、以前からハーリドをあまり信頼できる人物とは見ていなかったとされています。王位継承を認めない方針を早い段階から固めていたとも言われています。両者の間には、単なる手続き上の行き違いだけでなく、根の深い方針の違いがあったことがうかがえます。
イギリスが恐れていたもう一つの理由
イギリスがハーリドの即位を強く拒んだ理由は、手続き違反だけではなかったとされています。もう一つ大きな理由として挙げられるのが、奴隷貿易をめぐる立場の違いです。当時のザンジバルは、長い間、東アフリカにおける奴隷貿易の重要な拠点でした。イギリスは19世紀を通じて、奴隷貿易を段階的にやめさせる方針を各地で進めていました。
ザンジバルでも、奴隷の売買そのものはすでに禁止されていましたが、国内での奴隷制度自体は残っていた時期にあたります。ハーリドは、奴隷制度の維持を望む勢力に近い立場だったとされ、この点でもイギリスとは相いれない部分がありました。イギリスにとっては、自分たちの方針に沿って動いてくれる王様を立てることが、地域の安定と自国の利益の両方にとって重要だったのです。
