なぜこれほど早く決着したのでしょうか
ここまでの内容を整理すると、なぜこの戦いがこれほど短時間で終わったのか、その理由が見えてきます。第一に、両者の軍事力に圧倒的な差があったことです。近代的な軍艦と旧式の武器では、勝負になりません。第二に、宮殿という建物自体が、そもそも防御を想定して作られていなかったことです。宮殿は木造に近い造りで、戦闘用の要塞ではありませんでした。
第三に、守り手の多くが訓練された兵士ではなく、急きょ集められた住民や使用人だったことです。統率の取れた反撃は難しかったと考えられます。これらの要因が重なった結果、本格的な戦闘というよりも、一方的な砲撃に近い展開になり、わずか数十分で決着がついたと考えられています。
もしイギリスが本気を出していなかったら
もう一つ想像してみましょう。もしイギリス側が、ここまで圧倒的な戦力を用意せず、もう少し控えめな対応をしていたらどうなっていたでしょうか。当時のイギリス本国からは、現地の担当者に対して「必要と考える措置を取ってよい」という趣旨の許可が出されていたと伝えられています。つまり、現地の判断にかなりの裁量が与えられていたのです。
もし本国からの許可がもっと慎重なものであれば、いきなりの武力行使ではなく、交渉を続ける道もあったかもしれません。しかし実際には、圧倒的な戦力を見せつけることで、短期間かつ最小限の自軍の被害で決着をつける、という方針が取られました。この判断が、結果的に「世界最短の戦争」という記録を生むことになったのです。
