建物の造りも決着を早めていました
意外と見落とされがちですが、宮殿そのものの造りも、この戦いの結末を左右した要因のひとつでした。ザンジバルの王宮は、豪華な外観を持つ一方で、戦闘に耐えるための要塞のような構造ではありませんでした。木材を多く使った造りで、防御用の厚い壁や、砲弾を防ぐ工夫はほとんどされていなかったとされています。
守り手たちは、木箱や荷物を積み上げてバリケード代わりにしていたとも伝えられていますが、近代的な高性能爆薬を使った砲弾の前では、ほとんど効果がありませんでした。砲撃が始まってすぐに宮殿の一部が炎上したのも、こうした建物の構造が影響していたと考えられます。頑丈な要塞であれば、たとえ同じ砲撃を受けても、もう少し持ちこたえられた可能性はあります。
専門家が指摘する短期決着の背景
歴史を研究する専門家の間では、この戦いが短時間で終わった背景について、いくつかの見方が示されています。ひとつは、そもそもこれが対等な「戦争」というより、圧倒的な力の差を見せつける「懲罰的な軍事行動」に近かった、という見方です。もうひとつは、イギリス側があらかじめ入念な準備を整えたうえで、短期決戦を強く意識していた、という指摘です。
事前に艦船を集め、住民や非戦闘員を港から遠ざけ、天候や潮の状態まで確認したうえで行動に移ったとされる点からも、この見方には一定の説得力があります。こうした見解は、あくまで一般的に紹介されている考え方であり、絶対的な結論というわけではありません。それでも、単なる偶然ではなく、いくつもの条件が重なった結果だったことは間違いなさそうです。
