海の上でも小さな戦いがありました
陸の宮殿だけでなく、実は海の上でも戦闘が起きていました。ハーリド側が持っていた唯一の「軍艦」は、グラスゴー号という木造の王室ヨットでした。もともとはヴィクトリア女王からザンジバルの王室に贈られた船で、7門ほどの小さな大砲を備えていたとされています。
宮殿への砲撃が始まると、このグラスゴー号は、イギリスの巡洋艦セント・ジョージ号に向けて発砲したと伝えられています。しかし、性能の差は歴然としていました。セント・ジョージ号の反撃を受けたグラスゴー号は、水面下に穴を開けられ、あっという間に浸水を始めます。乗組員たちはイギリスの旗を掲げて降伏の意思を示し、駆けつけたイギリス側のボートによって全員が救助されたとされています。
兵力の差を数字で見てみましょう
両者の戦力を数字で比べてみると、その差の大きさがよくわかります。イギリス側は、艦船5隻、兵士や海兵隊員あわせておよそ150人前後だったとされています。対するハーリド側は、宮殿の守り手だけでおよそ2800人、これに加えて大砲数門と機関銃、そして1隻のヨットという構成でした。
人数だけを見ればハーリド側の方が圧倒的に多く見えます。しかし、イギリス側の艦船には、9.2インチ砲をはじめとする近代的な兵器が搭載されていました。約38分の間に撃ち込まれた砲弾はおよそ500発、機関銃の弾は4000発を超えたとする記録もあります。旧式の装備しか持たない側が、これほど集中的な近代兵器の攻撃を受ければ、数の多さはほとんど意味を持たなかったと考えられます。
