「26マイル」という数字が意味していたもの
先ほど少し触れましたが、42.195キロのもとになった数字は「26マイル」でした。26マイルはキロメートルに直すと、およそ41.8キロにあたります。
この26マイルという距離は、当時のイギリスにあった二つの場所を直線的に結んだ距離をもとに設定されたとされています。当時としては、それまでの大会と比べて特別長すぎるわけではない、現実的な数字だったようです。
ところが、この26マイルというきりの良さそうな数字に、あとから385ヤードという端数が加わることになります。この端数こそが、42.195キロという半端な数字の正体です。
なぜ、わざわざきりの良い数字を崩してまで、端数を加える必要があったのでしょうか。その理由はもう少し先で詳しく明かします。
距離が統一されていなかった時代、記録の比較はどうしていた?
大会ごとに距離が違っていたということは、当時の「優勝タイム」を単純に比べることができなかった、ということでもあります。40キロの大会のタイムと、42キロ近い大会のタイムでは、条件がまったく違うからです。
そのため当時は、記録そのものよりも「その大会で誰が一番だったか」という順位に重きが置かれていたと考えられます。今のように世界記録を厳密に管理する仕組みは、まだ整っていませんでした。
この状況が変わっていくのは、距離が統一され、国際的な競技団体が記録を管理するようになってからのことです。距離の統一は、単に「基準を揃える」以上に、マラソンを近代スポーツとして成立させるための大切な一歩だったといえます。
ここまでの流れを踏まえたうえで、いよいよ次のページから、42.195キロが生まれた大会そのものに焦点を当てていきます。
