数字で見る、41.843キロと42.195キロの「352メートルの差」
あらためて数字を整理してみましょう。もともとの計画だった26マイルは、キロメートルに直すと約41.843キロです。そこに385ヤード、約352メートルが加わったことで、42.195キロになりました。
352メートルというと、だいたい競技場のトラック一周弱に近い長さです。数字だけ見ると小さな差に思えるかもしれませんが、レースの終盤でこの距離が加わるかどうかは、選手の体力に大きく影響したと考えられます。
実際、42.195キロという半端な数字のうち、多くの人が気にする「0.195キロ」の部分は、正確には「385ヤード」という単位のずれから生まれたものです。もとをたどれば、キロメートルではなくヤードの端数だった、という点は覚えておくと面白い豆知識になります。
そして、この延びた352メートルが、まさにあのゴール直前のドラマに直結していきます。
延びた距離が生んだ、あのゴール直前のドラマ
先ほど紹介した、ドランド・ピエトリのドラマを覚えているでしょうか。実はこのドラマ、ゴール地点が競技場の入り口ではなく、貴賓席の前まで延ばされていたことと深く関係しています。
ピエトリは競技場に一着で入ってきたものの、そこからさらに貴賓席前までトラックを回り込む必要がありました。この最後の追加区間で疲労が限界に達し、何度も転倒してしまったとされています。
結果的にピエトリは失格となり、二着だったアメリカのジョニー・ヘイズ選手が金メダルを手にしました。それでも、力尽きながらもゴールを目指したピエトリの姿は、当時の観客や新聞記者の心を強く打ち、世界的に有名なエピソードとして語り継がれるようになりました。
この後日談として、ピエトリはその後アメリカでの興行レースに招かれ、ヘイズと再び対決する機会を得たとも伝えられています。距離が延びたことが、思いがけずランナー自身の伝説も生み出したのです。
