答えは、スタートとゴールの「たった一つの決め方」にあった
お待たせしました。ここでいよいよ、42.195キロという距離が生まれた理由をお伝えします。答えはとてもシンプルで、「スタートとゴールをどこに設定するか」という、たった一つの決め方にありました。
1908年のロンドン大会のマラソンは、スタート地点をウィンザー城、ゴール地点を競技場内にある貴賓席の前と定めて計画されました。この二点を結んだ実際のコースの長さが、結果として42.195キロになったのです。
もともとの計画では、26マイル、キロメートルに直すと約41.8キロというきりの良い距離が想定されていたとされています。ところが、ある事情によってスタート地点が少しだけ移動することになり、結果的に385ヤード、メートルにすると約352メートル分、距離が延びました。
この26マイルに385ヤードを足した距離こそが、42.195キロの正体です。では、なぜわざわざスタート地点が移動することになったのでしょうか。次の見出しで、その具体的な事情を見ていきます。
王妃のリクエストが生んだ、385ヤードの端数
広く伝えられている話によると、この距離が延びるきっかけを作ったのは、当時のイギリス王妃アレクサンドラだったとされています。王妃は、王室の子どもたちの部屋の窓からスタートの様子が見えるようにしてほしい、と希望したといわれています。
この希望に応えるため、スタート地点がお城の敷地内、窓から見える場所へと少しだけ移されることになりました。あわせて、ゴール地点も競技場の入り口付近ではなく、王妃をはじめとする貴賓が座る観覧席の真正面まで延ばされることになったとされています。
この二つの調整によって、コース全体が385ヤードほど長くなり、結果として26マイル385ヤード、つまり42.195キロという数字ができあがりました。王妃のちょっとした希望が、世界中のランナーが今も走り続ける距離を生み出した、というのは、なんとも印象的な逸話です。
ただし、この距離が生まれたことで、当日のレースにはさらなるドラマが待っていました。次のページでは、この距離とレース展開との関係を、もう少し詳しく見ていきます。
