なぜ「識別」が一番の理由なのか、歴史から読み解きます
5円玉も50円玉も、穴があく直前には必ず「よく似た硬貨」が同じ時期に存在していました。5円玉のときは1円玉、50円玉のときは100円玉です。逆に言えば、似た硬貨が存在しなければ、穴をあける必要もなかったかもしれません。
金属の節約や偽造防止だけが目的であれば、硬貨が誕生した最初の段階から穴をあけておけばよかったはずです。しかし実際には、どちらも「似た硬貨が登場してから」穴があけられています。このタイミングの一致こそ、識別のしやすさが主な理由だったことを裏付けていると言えるでしょう。
実際に起きた見間違いの記録
当時の資料には、色や大きさの近い硬貨が混在していたことで、支払いの現場で混乱が生じていたことをうかがわせる記述が残っています。特に、新しい硬貨が登場した直後は、古い硬貨との区別に慣れていない人も多かったと考えられます。
こうした混乱を解消するための現実的な対応として、穴をあけるという工夫が採用されたのです。今となっては当たり前の存在である穴ですが、その背景には、当時の人々が実際に感じていた不便さがあったのです。次のページでは、偽造防止や節約という理由が、決して軽い扱いだったわけではないことを紹介します。
