プラトンも悩んだ海外での議論
先ほど触れたように、鏡の左右反転についての議論は、古代ギリシャの哲学者プラトンの時代までさかのぼるといわれています。
その後も、時代を超えてさまざまな学者がこの問題に挑んできました。海外では、ノーベル物理学賞を受賞するほどの研究者もこの議論に加わったことがあると伝えられています。
それだけ多くの優れた頭脳が挑んでも、長いあいだ、誰もが納得する答えにはたどり着けませんでした。鏡の反転は、それほど奥が深いテーマなのです。
日本でも、この謎に正面から取り組んだ研究があります。次のページから、その研究の内容に少しずつ近づいていきます。
東京大学の研究者が挑んだ謎
東京大学大学院の高野陽太郎教授は、この「鏡はなぜ左右が逆に見えるのか」という長年の謎について、心理学の実験を通じて研究を行いました。
高野教授の研究では、「鏡映反転」と呼ばれるこの現象は、実は1つの現象ではなく、性質の異なる複数の現象が重なって起きているとされています。
私たちがふだん「左右が逆になっている」と一言で片づけている感覚のなかに、実はいくつもの異なる仕組みが混ざっていたのです。
この研究は、身近な現象の裏に、思っていたよりずっと複雑な理由が隠れていたことを教えてくれます。次は、鏡を使うときに気をつけたいポイントを紹介します。
