「鏡映反転」という言葉の意味
専門家の間では、鏡に映ったときに起こる反転現象全体をまとめて「鏡映反転」という言葉で呼びます。「鏡に映ることで起きる反転」という意味の言葉です。
この言葉が指すのは、人の姿が逆に見える現象だけではありません。文字が逆に見える現象や、物の配置が逆に見える現象なども、まとめて鏡映反転と呼ばれることがあります。
一つの言葉でまとめられているために、私たちはつい「全部同じ理由で起きている」と考えてしまいがちです。しかし、これまで見てきたように、人の姿の反転と、文字の反転は、実は生まれる仕組みが違うのです。
この違いを整理した研究こそ、東京大学の高野教授による「多重プロセス理論」です。次の見出しで、その内容を詳しく紹介します。
専門家が示した「多重プロセス理論」
高野教授が提案した「多重プロセス理論」では、鏡映反転は1つの現象ではなく、性質の異なる3つの現象が組み合わさって起きている、と説明されています。
1つ目は、自分自身の姿が逆に見えるときに関係する「視点の入れ替え」による反転。2つ目は、文字などを覚えている形と比べることで感じる反転。3つ目は、鏡の面に対してまっすぐな方向、つまり奥行きの方向で実際に起きている光学的な反転です。
この3つ目の「奥行き方向の反転」こそ、鏡が物理的に本当に行っていることだとされています。これまで何度も登場してきた「前後」というキーワードが、ここでつながってきます。
ここまで来れば、答えはもうすぐそこです。次のページで、この記事のテーマである疑問に、いよいよ答えを出していきます。
