「鏡文字も同じ理由」という誤解を整理する
最後に、この記事の冒頭で触れた「文字の反転」について、もう一度整理しておきましょう。人の姿の反転と、文字の反転は、実は起きている理由が異なります。
人の姿が逆に見えるのは、これまで説明してきたとおり、私たちが鏡の中の姿を「向かい合う他人」として解釈してしまう、見方のクセによるものです。
一方、文字が逆に見えるのは、紙に書いた文字を裏返して鏡に向けたときに、実際に左右が物理的に入れ替わってしまうことが原因です。裏返し方を変えて、上下をひっくり返すようにすれば、今度は上下が逆になった文字が鏡に映ります。
同じ「鏡映反転」という言葉でまとめられていても、原因はまったく別物だったのです。この違いを知っているだけで、鏡にまつわる会話の説得力がぐっと増すはずです。次はいよいよ、この記事全体のまとめに入ります。
鏡が教えてくれる、身近な科学の面白さ
毎日何気なく使っている鏡には、これほど奥深い謎が隠れていました。トリックアートの世界でも、この「鏡は前後を反転させる」という性質を利用した作品がよく作られています。
たとえば、鏡を使って左右対称の絵を作り出す作品や、鏡の反射を利用して実際には存在しない形を見せる作品などがあります。鏡の仕組みを知っていると、こうした作品の面白さもより深く味わえるようになります。
身近すぎて誰も疑わない現象の中にこそ、こうした発見の種が隠れているのかもしれません。鏡は、私たちに「当たり前を疑う楽しさ」を教えてくれる、とても身近な存在です。
それでは最後に、この記事全体で分かったことを、あらためて振り返っておきましょう。
