2000年以上、答えが出なかった重み
あらためて振り返ると、プラトンの時代から現代まで、実に2000年以上にわたってこの疑問は議論され続けてきました。
その間には、物理学、心理学、哲学など、さまざまな分野の専門家が入れ替わり立ち替わりこの問題に取り組んできたとされています。分野をまたいで長く議論されてきたテーマは、実はそれほど多くありません。
それだけ長く決着がつかなかったのは、この現象が「物理の問題」と「心理の問題」の両方にまたがっている、複雑なテーマだったからだと考えられています。
この2つの側面を切り分けて考えることこそが、謎を解くカギになりました。次は、上下が反転しない理由について、あらためてQ&A形式で整理してみます。
Q. 上下はどうして反転しないと感じるの?
A. これまで見てきたとおり、上下が反転しないと感じるのは、頭と足という、はっきり違う特徴を持つ部分を、私たちが普段からしっかり区別しているからです。
鏡の中の自分を見ても、頭が上、足が下という並び方は変わりません。そのため「上下が入れ替わった」と感じる余地がそもそも生まれにくいのです。
一方で左右は、体の形が左右対称に近いために区別がつきにくく、視点を入れ替えて考えてしまう余地が生まれやすい、という違いがあります。
上下と左右、この2つの違いを比べることで、鏡の反転の正体がだいぶ見えてきました。次は、鏡そのものの歴史や材質についてのトリビアを挟みます。
