もう一つの仕組み「簡易課税」とは
簡易課税は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が選べる、消費税の計算方法です。
本来、事業者は、実際に仕入れにかかった消費税を一つひとつ計算して差し引きます。簡易課税では、その代わりに、業種ごとに決められた「みなし仕入率」を使って、仕入れにかかった消費税を計算します。
みなし仕入率は、卸売業が90%、小売業が80%、製造業が70%、飲食店などが60%、サービス業が50%、不動産業が40%と決められています。
計算の手間が大幅に減る一方で、実際の仕入れの割合と、みなし仕入率の間に差があれば、その差の分だけ納める消費税が変わってきます。この差について、国の機関が調べた結果があります。
会計検査院が確認した「いわゆる益税」
2012年10月、国のお金の使われ方をチェックする会計検査院は、簡易課税制度についての報告を国会と内閣に提出しました。
調べた4,699の事業者のうち、3,742の事業者で、簡易課税を使ったことにより、本来の計算方法よりも納める消費税が合計で21億7,647万円余り少なくなっていました。報告書は、「いわゆる益税が生じている状況となっていた」と明記しています。
たとえばサービス業などの第5種事業では、みなし仕入率が50%なのに対して、実際の平均の仕入率は32.4%にとどまっていたとされています。
これも、法律で認められた計算方法の範囲で起きていることです。誰も違反していないのに、国に届かない消費税がある。その一つの具体例が、ここにも表れていたわけです。
