Amazon「Fire Phone」
2014年、Amazonは初めて自社で設計したスマートフォン「Fire Phone」を発表しました。Amazonは6月の発表で、画面を見る角度に応じて表示を変える機能や、商品などをカメラで認識する「Firefly」などを大きな特徴として紹介しています。Amazonのサービスをまとめて使えることも強く打ち出されました。
ところが発売後の値下げは早く、2014年9月には2年契約で199ドルだった32GBモデルが99セントになりました。Amazonの2014年資料では、Fire Phoneの在庫評価などを含む約1億7000万ドルの費用も記録されています。技術的な工夫はあっても、当時のiPhoneやAndroid端末と比べて「これを選ぶ理由」を伝え切れなかったことが大きな課題になりました。
Fire Phoneは、Amazonがスマートフォンそのものを作るところまで踏み込んだ点でも注目されました。発表では独自の機能が大きく紹介され、Amazonらしい新しい買い物体験も期待されました。しかしスマートフォンは生活の中心に近い商品です。少し面白い機能があるだけではなく、毎日使う基本部分まで満足できることが選ばれる条件になります。
99セントまで値下げされたスマートフォン
Fire Phoneには、視線や端末の動きに反応する表示、商品を識別する機能、Amazonの会員サービスとの組み合わせなど、特徴がいくつもありました。ところがスマートフォンでは、カメラ、地図、アプリ、通信、価格など、毎日使う基本部分の比較が先に行われます。珍しい機能が一つあっても、全体で他社より便利だと感じてもらう必要があります。
さらにAmazonは、米国ではAT&Tの独占販売という形で発売しました。選べる通信会社が限られることは、購入を考える人にとって小さくない条件です。発売後の大幅な値下げと在庫費用は、期待と実際の需要の差を数字で残しました。次は、さらに短い期間で方向転換したMicrosoftの携帯電話です。
2014年当時は、すでにスマートフォンの選択肢が非常に増えていました。そのため、Fire Phoneを選ぶ理由だけでなく、別の端末から乗り換える手間まで考えてもらう必要があります。発売直後の価格変更は、商品の魅力を伝える前に価格がニュースになったことを意味します。技術の独自性より、購入時の分かりやすさが先に見られる市場だったのです。次の事例では、独自機能を満載したAmazonのスマートフォンが、なぜ発売直後から大幅な値下げに向かったのかを追います。
