20事例に共通する五つの壁
今回の20事例には、共通する傾向があります。ひとつ目は「新しさだけでは足りない」ことです。New CokeやCrystal Pepsiのように、目立つ変更そのものが注目を集めても、従来品を選んでいた理由まで置き換えられるとは限りません。二つ目は「価格」です。PippinやFire Phone、Surface RTでは、価格と実際の価値の受け止め方が大きな問題になりました。
三つ目は「使い方の分かりにくさ」です。Pippin、Google Wave、Nexus Q、Glassなどは、新しい技術を持っていても、日常生活でどう使うのかが伝わりにくい面がありました。四つ目は「周りの環境」です。AlloやStadiaのように、利用者だけでなく、友人、対応作品、競合サービス、通信環境などがそろって初めて価値が生まれる商品もあります。
20事例を比べると、「売れなかった理由」は一種類ではないことがはっきりします。食品では味や見た目、機器では価格や使い勝手、ネットサービスでは利用者が集まるかどうかが大きく関係します。つまり、新商品に共通する一つの失敗法則があるというより、商品ごとに異なる条件が組み合わさって結果が決まっていたと見るほうが適切です。最後に、20事例を横に並べてみます。商品が違っても共通して現れる「売れ続けるための条件」が見えてきます。
大コケの後に残ったものもある
そして五つ目は、「終了=すべてが無駄」ではないことです。New Cokeでは元の商品への愛着が改めて強く意識され、KinやNexus Qでは技術や人材が別の製品へ移されました。Google GlassやStadiaも、消費者向けサービスを終えた後に技術の別用途を探しています。失敗した商品が、その後の新しい商品づくりにつながることは珍しくありません。
発売前の期待が大きいほど、結果が伸びなかったときは「なぜ?」という疑問が生まれます。けれど、今回の事例を見ると、理由は一つではありません。価格が高かった、使い方が難しかった、競合が強かった、会社の事情が変わった、時代の使い方が変化した――。商品が市場に定着するには、多くの条件が同時にかみ合う必要があるのです。
そして、発売前の期待が高いほど、失敗の原因は「商品だけ」に求められやすくなります。実際には、競合の強さ、会社の事情、社会の変化、利用者の習慣など、外側の条件もあります。発売後すぐに結果が出なかったとしても、そこから何を学び、次の商品へどうつなげたかまで見ると、それぞれの事例が違って見えてきます。
