スタンフォード大学などが発表した、数式によるモデル研究
2018年、アメリカのスタンフォード大学とフランスのエコール・ポリテクニークの研究者たちが、また新しい角度からこのテーマに挑みました。
彼らは、実際の映像を撮影するのではなく、関節の形や液体の動きを数式で再現するという方法をとりました。計算によって導き出した音の波形と、実際に指を鳴らしたときの音の波形を比べたのです。
その結果、気泡が完全にはつぶれきらず、一部だけがつぶれるようなモデルのほうが、実際の音の特徴とよく一致することが分かりました。
この考え方は、これまでの「気泡がすべてつぶれる」説とも、「気泡が新しく生まれる」説とも少し違う、間をとったような見方だと言えます。次の見出しで、この考え方をもう少し掘り下げてみましょう。
もし気泡が完全につぶれなかったとしても、音は鳴るのか
ここで気になるのが、「気泡が全部つぶれきらなくても、あの大きな音は鳴るのか」という点です。研究チームのモデルでは、答えは「鳴る」というものでした。
気泡の一部が急にしぼむような動きをするだけでも、周りの液体に振動が伝わり、それが私たちの耳に届く音として感じられるとされています。
この考え方は、「音が鳴った後も気泡が残っている」という2015年の観察結果とも、うまくつじつまが合います。完全に消えなくても、音は十分に鳴り得るというわけです。
このように、関節の中の変化についてはさまざまな研究が積み重ねられてきました。次のページでは、あの音の大きさそのものを、身近なものと比べてみます。
