傾いて見える「斜めの家」
新潟県上越市には、建物全体が斜めに見える住宅があります。通称はそのまま「斜めの家」。渡邊洋治さんが1976年に妹夫婦のために設計した住宅で、LIFULL HOME’S PRESSでは、外観を見ただけで「一体どうなっているのか」と感じる建物として紹介されています。普通の住宅のような水平線が少なく、正面から見ると視線が大きく揺さぶられます。
興味深いのは、「なぜこの形なのか」という設計意図が十分には残されていないことです。記事では、渡邊さんが詳細な設計主旨を文章で残していないとされています。一見すると生活しにくそうですが、実際には住み手の暮らしを考えた工夫が盛り込まれています。外観だけで判断すると、建物の本当の使われ方を見落としてしまう好例です。
斜めの家は、見た瞬間の印象と、実際の暮らしを知ったときの印象が違う建物です。奇妙な輪郭だけでなく、家族のための住宅としてつくられた背景まで含めて見ると、形の意味を一面的に決められないことが分かります。
設計者は斜めの家について詳細な主旨を文章として残していません。そのため、現在分かることと、後から見た人の解釈を分けて読む必要があります。
曲線と装飾で別世界に見える「ドラード早稲田」
東京都新宿区のドラード早稲田は、一般的な集合住宅とはかなり違う表情を持つ建物です。東急リバブルの物件情報では、曲線を生かしたフォルムや立体的な外壁装飾が特徴として紹介され、スペインの建築家ガウディの作品を思わせるような雰囲気とされています。建物の角や窓まわりが直線だけで構成されていないため、街角にあると強い存在感があります。
ここでは、動物や食べ物のように一つの物へそっくり見えるわけではありません。それでも「普通のマンションらしさ」から大きく離れた形なので、今回のテーマとよく合います。こうした建物を見ると、奇妙な形とは必ずしも具体的な何かを再現することではなく、普段見慣れた建築のルールを少し外すことでも生まれるのだと分かります。
装飾が多い建物は、全体像だけでなく玄関や窓、壁の模様など小さな部分にも視線が移ります。ドラード早稲田はその典型で、建物を一つの作品として眺める楽しみがあります。
外観に細かな装飾が多い建物では、同じ写真でも見る場所によって印象が変わります。交差点からの全景と、入口付近の細部を見比べると違いがはっきりします。
