16件を並べると「似ているようで違う」
ここまで紹介した16件を眺めると、どれも「普通の四角い建物ではない」という共通点があります。しかし、形の作り方は大きく違います。越前がにミュージアムやプリンの森は、動物や食べ物をかなり直接的に表現しています。一方、ほうとう不動や豊島美術館は、雲や水滴のような自然の形を抽象的に取り入れています。
軍艦マンションや石ノ森萬画館のように、乗り物をイメージした建物もあります。さらにモザイクタイルミュージアムのように、地域の産業そのものを形に置き換える例もあります。つまり「不思議な形」という一言の中に、再現、連想、抽象化、地域表現という複数の方法が含まれています。違いを知ると、街歩きで建物を見る視点も変わってきます。
16件を分類すると、直接的な「再現型」と、自然や素材から形をつくる「連想型」の違いが見えます。前者は分かりやすさ、後者は景観とのなじみやすさに、それぞれ強みがあります。
こうして並べると、自然をそのまま写した建物よりも、特徴だけを取り出した建物のほうが多いことにも気づきます。建築では「似せる」と「感じさせる」が別の方法として使われます。
分かりやすい形ほど「中身」と結びついている
カニ、プリン、貝、宇宙船といった具体的な形は、初めて見ても意味を想像しやすいのが強みです。施設の名前や用途を知らなくても、外観からある程度のテーマが伝わります。これは観光地や体験型施設では特に便利です。道から見えた瞬間に「ここは何だろう」と思わせ、そのまま立ち寄るきっかけにもなります。
ただし、形が分かりやすいほど、建物の中身まで同じだと思い込まないことも大切です。UFOふれあい館はUFOの資料施設ですが、展望風呂もあります。石ノ森萬画館は宇宙船のような外観でも、中身はマンガ文化を扱う博物館です。見た目は入口であり、実際の役割は別にある。この違いが、面白さをさらに増しています。
見た目が施設のテーマを伝えるだけでなく、テーマに沿った体験を誘う例もあります。海や宇宙、食べ物など、外観を見て興味を持ち、そのまま中へ入りたくなる流れが生まれやすいのです。
外観で興味を引き、内部で本来のテーマを体験してもらう流れは、博物館や飲食店と相性が良い方法です。建物が最初の案内役になっていると考えると分かりやすいでしょう。
