川の上に浮かぶ宇宙船「石ノ森萬画館」
宮城県石巻市の石ノ森萬画館は、旧北上川に面して建つマンガミュージアムです。設計を担当した日本設計によれば、デザインのコンセプトは「宇宙に向かって飛び立つ」宇宙船のイメージでした。実際、建物は角ばった船体のような外皮をまとい、川沿いの景色の中でひときわ目立ちます。
さらに意外なのは、その外皮をつくった会社です。日本設計の説明では、特殊な鉄板構造の形状を実現するため、造船会社が製作を担当しました。つまり「宇宙船に見える」というイメージが、実際のものづくりにも影響したわけです。マンガ作品の世界観を、建物の外側まで広げた事例として見ると、より面白く感じられます。
宇宙船を連想させる形は、川沿いという立地とも相性があります。水面や空を背景にすると、建物が地面から少し浮いているように見えます。周囲の風景まで含めて完成するデザインと考えると分かりやすいでしょう。
造船会社が鉄板の外皮を製作したという事実は、イメージだけでなく工法まで宇宙船らしさと結びついたことを示しています。建築と別分野の技術が交わった例です。
巨大なビールジョッキに見える「アサヒビールタワー」
東京・吾妻橋でひときわ目立つ建物の一つが、アサヒビールタワーです。アサヒビールの公式案内によれば、琥珀色のガラスと白い頭頂部を組み合わせ、泡があふれるビールジョッキをイメージしたデザインになっています。遠くから見ると、縦長のグラスをそのまま巨大化したようにも見えます。
この建物は1989年の完成時から東京の新しい景観として知られるようになりました。飲料会社の本社を、その会社の商品と結びつく姿にすることで、企業名を知らなくても何となくテーマが伝わります。建物の高さや色だけでなく、「何に見えるか」まで意識すると、都市の大きなビルも別の見方ができる好例です。
ビールジョッキという具体的な形を本社ビルに重ねたことで、企業の事業内容が建物から読み取れるようになっています。特に夕方以降はガラス面の色が変化し、昼とは違う印象になります。
本社ビルの色にも意味があります。琥珀色のガラスは飲み物の色を連想させ、頭頂部の白い部分が泡を表します。細かな色使いまで商品イメージに合わせています。
