巨大なカニそのものに見える「越前がにミュージアム」
福井県越前町にある越前がにミュージアムは、このテーマを語るうえで外せない建物です。施設の外観は越前がにをモチーフにしており、中央のドームがカニの甲羅、その左右に伸びる棟が脚を思わせる構成になっています。遠くから眺めると、建物というより巨大なカニが地面に張り付いているように見えるのが特徴です。
面白いのは、見た目だけでなく内部にもカニの世界が貫かれていることです。公式案内では、海中の世界を体験しながら越前がにについて学べる施設とされています。つまり外観のカニは単なる飾りではなく、施設の目的と結びついたデザインです。地域を代表する食材を、そのまま建物の記号にした例といえるでしょう。
外観を眺めるときは、カニの甲羅に当たる部分、脚に見える部分という具合に、実際の機能との対応を探すのも楽しみ方の一つです。形と用途が一致していると、建築の意図がより伝わりやすくなります。
甲羅に見える中央部と左右の棟を別々に見ると、一つの建物の中に複数の機能が組み合わされていることが分かります。大きな形は内部の配置とも連動しています。
巨大な巻き貝に見える「海のピラミッド」
熊本県宇城市の三角港には、円すい形の大きな建物があります。名前は「海のピラミッド」です。宇城市の公式案内でも、巨大な巻き貝にも見える不思議な形と紹介されており、国道から見ても強く目に入ります。港の待合所として生まれた建物が、いまでは三角港のシンボルの一つになっています。
この建物を近くで見ると、単純な三角形ではないことにも気づきます。内部にはらせん状のスロープが設けられ、外側からも渦を巻くような形が感じられます。1990年に完成した建物で、熊本県の「くまもとアートポリス」のプロジェクトにも位置づけられています。港の機能と、貝を思わせる形が一つになった建築です。
三角港の建物は、名前だけを見ると単純なピラミッドに思えます。しかし実際には巻き貝のような曲線が加わっています。この「名前」と「実際の姿」の少しのずれが、遠目で見たときの不思議さにつながっています。
完成から時間がたっても特徴が失われにくいのは、輪郭そのものが強いからです。一般的な待合所なら建物の記憶が薄れやすくても、この形は名前と一緒に残ります。
