不思議な形の建物は全国にある
街を歩いていると、「これは何の建物だろう」と思わず振り返ってしまう外観に出会うことがあります。四角い箱のような建物が多い中で、動物や食べ物、乗り物などを連想させる形は、それだけで強い印象を残します。しかも日本では、こうした建物が一部の観光地だけに集まっているわけではありません。港、大学、博物館、住宅、飲食店など、用途も場所もさまざまです。
ただし、「変わった形=奇抜な建物」と決めつける必要はありません。外観の曲線や大きさには、周囲の景色になじませる、土地の産業を伝える、施設の役割を分かりやすくする、といった理由が隠れていることがあります。見た目の面白さは入口であり、その奥にある事情まで知ると印象が変わるところが、このテーマの面白さです。
建物を見るときに大切なのは、最初の印象を否定しないことです。「カニみたい」「船みたい」と感じたなら、それ自体が調べる手がかりになります。見立ての面白さは、専門知識がなくても参加できるところにもあります。
とくに街の入口や道路沿いでは、建物を一目で認識できることが大きな意味を持ちます。形が記号のように働くため、初めて訪れた人でも場所を覚えやすくなります。
「二度見」したくなる理由は形だけではない
人が不思議に感じる建物には、見慣れたものとの落差があります。道路沿いに普通の住宅が並んでいるのに、急に巨大なカニやプリンのような建物が現れれば、脳は一瞬で「知っている形」と「建築物」という二つの情報を結びつけようとします。その違和感が、思わずもう一度見るきっかけになります。
さらに、建物は標識や看板と違って動かず、その場所に長く残ります。そのため、単なる広告とは違い、地域の風景そのものになっていく例もあります。実際に今回取り上げる中には、開館から何十年もたっている建物や、地域のシンボルとして自治体が紹介している施設もあります。次は、こうした建物を選ぶときの見方を少し整理しておきましょう。
今回のような建物は、観光地の有名施設だけではありません。住宅地や大学の敷地にも、設計者や施主の考えが外観に表れた建物があります。だからこそ、遠出をしなくても街歩きの途中で発見できる可能性があります。
形の理由まで知ると、「変わっている」という感想が「なるほど」に変わります。今回の記事では、その変化が生まれる瞬間をできるだけ具体的に拾っています。
