⑥アナベル人形は「実在する」けれど、映画とは別物
映画『アナベル』に登場する不気味な人形には、現実のモデルがあります。伝えられている話では、1970年ごろ、米国の看護学生が持っていたラガディ・アン人形に奇妙な出来事が起きたとされ、超常現象研究家のエド・ウォーレンとロレイン・ウォーレンが調査しました。人形はウォーレン夫妻の博物館に保管されたことで知られるようになります。
ここで注意したいのが、映画の人形とは見た目がかなり違うことです。実際に伝えられている「アナベル」は、子ども向けの布製人形です。映画では恐ろしい顔をした陶器風の人形として描かれますが、これは映像作品の演出です。現実の人形について語られる移動や襲撃なども、基本的にはウォーレン夫妻側から伝えられた体験談として扱う必要があります。
さらに、映画のような人形が実際に存在したわけではありません。現実の話で伝えられる人形は、顔つきも大きさも一般的な玩具に近いラガディ・アンです。見た目の差を知るだけでも、映画の恐怖演出がいかに強いか分かります。
「本物がある」ことと「呪いが証明された」ことは別
アナベルの話で混同されやすいのが、「本物の人形が存在する」ことと「その人形に悪霊が宿っていると証明された」ことです。前者は事実ですが、後者は確認された科学的事実ではありません。超常現象については、目撃談や体験談が残っていても、それだけで原因が確定するわけではないからです。
一方、この物語が世界中へ広がったこと自体には、はっきりした理由があります。実物の人形、著名な調査者、怪談、そして映画化が一つにつながったためです。現実の資料と創作映画を分けて見るだけでも、印象はかなり変わります。次に登場するのは、人形ではなく一枚の絵。こちらは1980年代の新聞記事が「呪い」を一気に広めました。
この物語は「実在のモデルがある」という一点だけで、本当らしさが増して見えます。しかし、モデルになった人形の存在と、超常現象の主張は同じ証拠で支えられているわけではありません。
実際の人形がどこへ移ったのか、現在どのように保管されているのかについても情報が更新されてきました。映画で描かれる設定だけを覚えていると、現実の経緯を取り違えやすい例です。
