⑫ホイア・バチューの森は、UFOや怪音の噂が重なった
ルーマニアのクルジュ・ナポカ近郊にあるホイア・バチューの森は、世界でも特に有名な「怪奇現象の森」として紹介される場所です。ねじれるような形の木や、円形の開けた土地が有名で、そこではUFOを見た、電子機器がおかしくなった、時間の感覚がおかしくなったといった体験談が語られてきました。1968年にはエミル・バルネアという人物が、森の上空に不思議な飛行物体があるように見える写真を撮影したことで、さらに注目を集めました。
ただし、こうした現象の多くは目撃談の域を出ません。特定の場所に「異常な電磁波がある」「超自然的な力が働く」と断定できる証拠が確認されたわけではありません。森が本当に不気味なのは、自然にできた樹木の形と、繰り返し語られてきた物語が強く結びついているからとも考えられます。
森の中央部にある開けた場所も、「何も育たない不思議な円」として語られます。ただ、木が生える条件は土の水分、日当たり、植物の種類など複数あるため、形だけで特殊な力を示すことはできません。
ねじれた木は、必ずしも「呪い」の証拠ではない
森の写真を見ると、幹が曲がった木が多く、まるで何かの力にねじ曲げられたように感じます。しかし、木は成長する環境によって形が大きく変わります。光を求めて伸びたり、周囲の木との競争で枝を曲げたり、風や雪の影響を受けたりすることがあります。
さらに、森のような薄暗い環境では、見る人の期待や恐怖心によって音や影を別のものとして受け取りやすくなります。もちろん、現地で語られる体験談を「勘違い」と決めつける必要はありません。ただ、体験したことと、その原因を「呪い」と断定することは別です。次は、奇妙な建築そのものが「霊を避けるためだった」と語られる巨大な邸宅です。
それでも、薄暗い森の中に突然ひらけた空間が現れれば、強い印象を受けるのは自然です。科学的な説明が十分に分からない部分と、伝承が作るイメージが重なって「呪われた森」という印象が残りました。
夜の森では視界が狭く、足音や枝の揺れる音の方向もつかみにくくなります。体験談を考えるときは、そうした環境条件も含めて考える必要があります。
