同じ頃のドイツでは「電気は物ではない」と判断された
日本の大審院が判決を出す少し前の1899年、ドイツの最高裁判所にあたる帝国裁判所は、電気はドイツ刑法でいう「物」にはあたらない、という判断を示したとされています。
つまりドイツでは、勝手に電気を使っても、物を盗む窃盗罪としては罰することができない、という結論になったのです。
そこでドイツでは、窃盗罪とは別に、電気を不正に奪う行為を罰する独自の条文が設けられました。現在のドイツ刑法にも、電気の不正な奪取を罰する規定が、窃盗罪とは独立した条文として置かれています。
裁判所の解釈で”電気は盗める”とした日本と、法律に新しい条文を作って対応したドイツ。ところが日本でも、このあと法律そのものに手が加えられることになります。
ここまでのヒントを整理すると
ここまでの内容をあらためて振り返ってみます。まず、スマホの充電にかかる電気代は、満充電でも1円に届かないほどわずかでした。
それでも、約1円の充電で中学生が書類送検され、2円50銭の電気で有罪判決が出たケースもありました。金額の小ささは、”セーフ”の理由にはならないということです。
さらに、法律の上では「物」とは形のある有体物とされ、電気はそこに含まれません。Wi-Fiの電波も、罪にならなかったケースがありました。にもかかわらず、明治の大審院は「電気は盗める」と判断していました。
この明治の裁判のあと、日本の法律そのものに、電気をめぐる”ある一文”が書き加えられることになります。それこそが、今回の疑問に対する答えです。
