説その1:外国人の発音に合わせたという説
日本銀行が紹介する説のひとつが、発音に関する説です。「EN」とローマ字で書くと、外国人が読んだときに日本語の「えん」よりも「いん」に近い発音になってしまう、という考え方です。
そこで頭に「Y」をつけることで、「えん」に近い音を再現しようとしたのではないか、というものです。英語の発音の仕組みを考えると、たしかに「EN」だけでは母音の響きが変わってしまうことがあります。
この説は、当時の外国人とのやり取りの中で、自然と生まれた工夫だったのではないかと考えられています。
幕末の「江戸」が「YEDO」と書かれていた話
この発音説を裏付ける手がかりとして、日本銀行は興味深い例を挙げています。幕末に日本を訪れた外国人が残した記録の中に、「江戸」という地名を英語で「YEDO」と表記したものがあるというのです。
「江戸」も本来なら「EDO」と書けそうなものですが、実際には「Y」がついた形で記されていました。
同じ時代、同じような感覚で「円」にも「Y」がつけられたとすれば、これは単なる偶然ではなく、当時の外国人の耳に日本語がどう聞こえていたかを示す共通のパターンだったのかもしれません。
