なぜ100年以上前の表記が今も変わらないのか
ここまで見てきたように、「YEN」という表記が生まれた正確な理由は、今もはっきりとはわかっていません。それでも不思議なのは、明治時代に決まったとされるこの表記が、150年以上たった今も、そのまま使われ続けているという点です。
理由がわからないなら、途中で「EN」に修正されてもよさそうなものですが、実際にはそうなっていません。
これには、言葉のつづりが持つ、ある性質が関係していると考えられています。
言葉のつづりは一度定着すると変わりにくいという性質
一般的に、言葉のつづりや表記は、いったん広く使われて定着してしまうと、あとから変更するのが難しくなるといわれています。すでに多くの人が「YEN」という表記を覚え、貿易や取引の書類、辞書、地図など、あらゆる場所で使われてしまっているためです。
今さら「EN」に変えようとすれば、かえって混乱を招いてしまいます。
こうした「一度広まった表記は変えにくい」という性質は、「YEN」に限らず、世界中の言葉にも共通して見られる現象だとされています。次のページでは、いよいよこれまでの説を整理しながら、現在わかっていることをまとめていきます。
