もし猫がゴロゴロを鳴らせなかったら
ここで少し想像してみましょう。もし猫がゴロゴロという音をまったく鳴らせなかったら、どうなるでしょうか。
子猫は母猫に自分の居場所を伝える手段を失い、大人になってからは飼い主に気持ちを伝える方法がひとつ減ってしまうことになります。表情筋があまり発達していない猫にとって、鳴き声や仕草は数少ない自己表現の手段です。そのうちの一つがなくなるのは、コミュニケーションの面で大きな影響がありそうです。
実際、同じネコ科の仲間でも、ゴロゴロを鳴らせない動物がいます。しかも、その代表格は私たちがよく知っている、あの大きな猫科動物たちです。
なぜ体の大きなネコ科動物は、ゴロゴロを鳴らせないのでしょうか。
ライオンやトラはゴロゴロを鳴らせない
意外に思われるかもしれませんが、ライオンやトラ、ヒョウ、ジャガーといった大きなネコ科動物は、家猫のようなゴロゴロという音を鳴らすことができません。
その理由は、喉の奥にある「舌骨(ぜっこつ)」という小さな骨の違いにあるとされています。家猫の舌骨はかたく骨化しているのに対し、ライオンなど大型のネコ科動物の舌骨は柔軟でやわらかいのです。
この舌骨がやわらかいおかげで、ライオンたちは声道を大きく伸ばし、「ガオー」という迫力のある咆哮を出せるようになっています。その代わりに、家猫特有の穏やかなゴロゴロという音は出せない体のつくりになっているというわけです。
同じネコ科の中でも、体のつくりによってこれほど違いがあるとは、驚きではないでしょうか。
