【答え】猫のゴロゴロは「嬉しい」だけのサインではなかった
ここまでの内容をふまえて、いよいよ答えをお伝えします。猫のゴロゴロという音は、満足しているときだけに出るものではありません。不安を感じているときや、痛みがあるときにも、猫は同じようにゴロゴロと喉を鳴らすことがあるのです。
つまり「ゴロゴロ=嬉しい」と一律に判断することはできません。診察台の上での緊張したゴロゴロ、骨折した猫のゴロゴロ、そして子猫が母猫に伝えるゴロゴロ。同じ音でありながら、そこに込められた意味は場面によってまったく違っているのです。
猫にとってゴロゴロは、限られた表現手段を場面ごとに使い回している、いわば「万能な合図」のようなものだと考えられます。だからこそ、音だけでなく、体全体の様子とあわせて気持ちを読み取ることが大切になってくるのです。
実は多くの人が知らないのですが、この事実にたどり着くまでには、長年にわたる研究の積み重ねがありました。
満足・不安・痛み、使い分けられている理由
なぜ猫は、これほど違う場面で同じゴロゴロという音を使い分けているのでしょうか。ここまでの内容を整理すると、ゴロゴロには大きく分けて三つの役割があると考えられます。
一つ目は、満足しているときに出る、いわば「幸せのサイン」としてのゴロゴロ。二つ目は、緊張や不安を感じたときに自分をなだめる「カーミングシグナル」としてのゴロゴロ。三つ目は、痛みや体調不良のときに、自分を落ち着かせ、もしかすると体の回復を助けているかもしれない「セルフケア」としてのゴロゴロです。
三つとも根っこにあるのは、子猫時代から続く「自分を落ち着かせ、相手とつながるための行動」だという点です。感情の種類は違っても、行動そのものの目的は共通しているのかもしれません。
答えが分かったところで、なぜこんな仕組みが生まれたのか、その背景をもう少し深く見ていきましょう。
