自販機やバスが「1万円札NG」でも合法な理由
ここで、記事の前半で取り上げた自販機やバスの話に戻ってみます。お札は無制限に通用するはずなのに、なぜ1万円札を受け付けなくても許されるのでしょうか。
答えは、自販機やバスは、利用する前の段階から「1万円札は使えません」という条件をはっきり示しているからです。利用者はその条件を承知したうえで、商品やサービスを利用することになります。
都営バスが公式サイトで「使える紙幣は1,000円札のみ」と案内しているのも、自販機に1万円札の投入口がないのも、事前に支払いの条件を示しているということです。
お札の強制通用力は、こうした事前の取り決めがない場面で力を発揮するものなのです。
数字データ「1万円札1枚」を作るのにかかる費用は?
ちなみに、1万円札を1枚作るのに、どのくらいの費用がかかっているのでしょうか。実は、お札1枚あたりの製造費用は、公式には券種ごとに公表されていません。
ただ、日本銀行が2022年度にお札の製造にかけた費用はおよそ549億円で、その年に作られたお札は全種類あわせて約29億枚だったとされています。これを単純に割ると、1枚あたり約19円という試算になります。
これはあくまで全種類のお札をならした平均の試算ですが、1万円札も、1枚あたり数十円ほどの費用で作られていると考えられます。
わずか数十円ほどで作られた紙が、1万円の価値を持ち、しかも法律で「無制限に通用する」とされている。お札に与えられている力の大きさが、あらためて感じられる数字です。
