飛行機のように宇宙へ行く「X-33」が計画されました
NASAのX-33は、1994年に始まった無人の技術実証機計画です。将来の再使用型宇宙船に必要な技術を試し、ロケットの打ち上げ費用を大きく下げることが狙いでした。通常のロケットのように使い捨てるのではなく、飛行機に近い形で繰り返し宇宙へ行く未来を目指したのです。
NASAはロッキード・マーティンと協力し、燃料タンク、エンジン、耐熱材などの新技術を一つの機体にまとめようとしました。NASAの歴史資料によると、NASA側は約10億ドル近くを投資し、ロッキード・マーティンも約4億ドルを負担する計画でした。ところが、先進的な技術を一度に成立させようとしたことが、大きな壁になりました。
X-33が目指したのは、ロケットのように垂直に打ち上げながら、将来は繰り返し使える宇宙輸送を実現するための技術でした。実用機そのものではなく、未来の機体を作るための試験機という位置づけです。
X-33は、実用機をそのまま作るのではなく、将来の宇宙輸送に必要な技術を試すための機体でした。だからこそ、試験機の段階で技術的な問題が解決できるかが重要でした。試験機を飛ばせなければ、その次の実用機にも進みにくくなります。
燃料タンクの問題が開発を大きく揺さぶりました
X-33では、液体水素を入れる複合材料の燃料タンクが大きな問題になりました。米会計検査院の報告では、複合材料の接合部分で剥離が起こり、設計どおりのタンクを作ることが難しくなっていました。1999年の試験でもタンクの表面が分離する不具合が発生し、タンクを作り直す対応が必要になりました。
さらに、エンジンや耐熱システムなど複数の重要技術が同時に開発中でした。NASAの監査資料では、こうした未成熟な技術を組み合わせるための費用や遅れを、当初の見積もりが十分に見込めていなかったことが問題として指摘されています。新しい技術を一つ試すのと、全部を一つの機体に詰め込んで飛ばすのとでは、難しさが大きく違ったのです。
液体水素は非常に低い温度で扱う必要があります。軽くて丈夫な材料を使いながら、漏れや変形を防ぐ必要があり、地上試験の段階でも高い技術力が求められました。材料の接着部分一つが全体の開発を左右することもあります。
