FCSは「一つの装備」ではなく巨大な組み合わせでした
FCSの特徴は、単独の兵器を開発する計画ではなかったことです。有人車両、無人車両、無人航空機、センサー、通信ネットワークなど、多数の装備を一つの仕組みとして成立させる必要がありました。たとえば通信が遅れれば、優れたセンサーがあっても情報を共有できません。別の装備の重量が増えれば、輸送計画にも影響します。
この構造では、各部分が予定どおり進むことだけでなく、全部を同時にそろえることが重要です。米会計検査院が「システム全体」の要求や技術の成熟度を重視したのも、この難しさがあったためです。一つの遅れが別の開発を待たせる仕組みでは、時間と費用が連鎖的に増えやすくなります。
米陸軍が想定したのは、個別の装備を単に同時購入することではなく、それぞれが情報をやり取りして一体として働く状態でした。全体が成立するまで一つの遅れも無視しにくい構造でした。
さらに、装備同士の接続を確認する試験も必要になります。個別の試験をすべて終えてから全体を試す方式では、後半になって問題が見つかるほど修正が高くつきます。大規模な装備群では、途中段階で全体の動きを確かめることが重要です。
「軽くする」ことが逆に難しさを増やしました
FCSは、重い装甲車両より軽く、すばやく移動できる装備を目指していました。ところが、車両を軽くすると、防護力や搭載できる装備との両立が難しくなります。さらに、通信機器やセンサーなどを載せると、設計上の余裕が減ります。米会計検査院は、開発途中で車両重量が増えたことも問題として挙げています。
「小さく、軽く、強く、たくさんの機能を持たせる」という要求は、一見すると合理的でも、同時に実現するほど難易度が上がります。FCSは、複数の理想を一つの装備群に詰め込んだことで、技術だけでなく費用や日程にも厳しい条件を課した計画だったといえます。
装備の軽量化は、輸送しやすくする利点があります。一方で、装甲、防火、電子機器、兵器などを積み込めば重量は増えます。複数の要求を同時に満たすほど、設計の余裕は小さくなります。
また、軽量化には材料費や製造技術の問題もあります。新しい材料を使えば軽くできる可能性がある一方、量産の方法が確立していなければ価格は高くなります。FCSは、性能だけでなく、製造や輸送まで含めた条件を同時に満たす必要がある計画でした。
