効果2:食べすぎを抑えやすくなる
食べる時間が長くなると、追加で食べる前に「もう十分」と感じる機会を作りやすくなります。実際、若い成人を対象に、ひと口あたりの噛む回数を増やした研究では、食事から取るエネルギー量が少なくなったという結果があります。一方で、同じ研究では食後の血糖やインスリンに明確な差が出なかったため、「噛めば全部の代謝指標が改善する」とは言えません。
ここで大切なのは、よく噛むことを「食事を抜く方法」ではなく、「必要以上に食べにくくする工夫」と考えることです。早く食べる人は、満腹感が追いつく前に次のひと口を重ねやすくなります。ひと口を小さくし、何度か噛んでから次へ進むだけでも、食べ方そのものが変わります。これが積み重なると、体重管理の面でも意味を持つ可能性があります。
食べすぎ対策としては、噛む回数を増やす以外にも、最初に汁物や野菜を食べる、食事中に水分を取る、次の一口まで少し間を置くといった工夫があります。どれか一つを万能視する必要はありません。よく噛むことを、こうした小さな工夫の一つとして組み合わせると、無理なく食事のペースを変えられます。
効果3:早食いを防ぎやすくなる
「よく噛む」と「ゆっくり食べる」は似ていますが、同じものではありません。噛む回数を増やすと、ひと口を口に入れてから飲み込むまでの時間が延びるため、結果として食事全体の速度が落ちやすくなります。厚生労働省も、早食いを見直す方法の一つとして、よく噛んで食べることを挙げています。
早食いを改善するときは、時計を見て食事時間を管理するより、ひと口の動作を変えるほうが取り組みやすい人もいます。たとえば、ひと口食べたら一度箸を置く、飲み込んでから次の料理へ進む、といった方法です。これは「何回噛めたか」を数えるより自然に続けやすい場合があります。ゆっくり食べること自体が体重とどう結びつくのかは、次の話につながります。
早食いには、仕事の昼休みが短い、朝に時間がない、空腹が強いなど、生活上の理由もあります。そのため「意志が弱いから早食いになる」と考える必要はありません。食器を大きくしすぎない、次の料理を先に取り分けないなど、環境を変えるだけでもペースを落とせます。よく噛むことも、その環境づくりの一部です。
