第5位 ホッキョククジラを上回る「グリーンランドサメ」の謎
グリーンランドサメは、北大西洋や北極海周辺の冷たい海に暮らす大型のサメです。2016年に科学誌Scienceへ発表された研究では、目の水晶体の中心部に残る放射性炭素を調べ、寿命が少なくとも272年に達すると推定されました。研究対象の中で最も大きな個体は、約392歳と推定されています。ただし、この数字には大きな推定幅があり、392歳ぴったりと確定したわけではありません。研究で示された範囲を含めて見ることが重要です。
それでも、脊椎動物としてこれほど長寿の例が確認されたことは大きな発見でした。人間から見ると十分に伝説的な数字ですが、今回のランキングではまだ中盤です。さらに上には、500年を超える記録を持つ貝が登場します。グリーンランドサメは動きがゆっくりで、冷たい深海付近を生活の場としています。研究対象となった個体の大きさと放射性炭素の情報を組み合わせることで、これまで考えられていたよりはるかに長い寿命が示されました。
150年を超えてから子どもを残すこともある
グリーンランドサメの長寿でもう一つ驚くのが、成熟するまでの時間です。2016年の研究では、メスが性成熟する年齢が少なくとも156歳ほどと推定されました。人間でいえば、成人するまでに数十年かかるどころか、何世代もの時間を使ってようやく繁殖期に入る計算です。もちろん、その間ずっと何をしているのかという生活史は人間の感覚では想像しにくいでしょう。冷たい海での遅い成長や低い代謝などが、長寿と関係すると考えられています。
ただし、長寿の仕組みが一つの理由だけで説明できるわけではありません。次に登場する貝は、体の中ではなく殻に残る「年輪」のような記録から年齢が分かりました。成熟年齢の推定は、グリーンランドサメの生活が人間とは大きく違うことを示します。長い幼少期を経ても、その後に何十年、何百年という時間を使って繁殖できるなら、短命な動物とは違う生き残り方になります。
数字だけでなく、暮らしている場所や体の仕組みまで合わせて見ると、この長寿記録がなぜ生まれたのかが見えてきます。
