長寿の候補は海に集中している
長生きする生き物を調べると、海の中、とくに冷たくて深い場所で暮らす種類が目立ちます。深海では温度が低く、食べ物が少ないことも珍しくありません。すると成長や体の変化がゆっくりになり、長い時間をかけて生きる方向に進化した種類がいます。もちろん、すべての深海生物が長寿というわけではありません。重要なのは、その生き物がどれくらいの速さで成長し、どのくらいの頻度で子孫を残し、どんな環境にさらされるかです。
長寿と環境には関係が見られますが、「深海だから必ず長生き」と考えるのは早計です。今回登場する生き物の中にも、極寒の海をゆっくり泳ぐもの、海底でじっと暮らすもの、岩のように見える群体など、生活の仕方が大きく違う種類があります。長寿の理由も一つではありません。海では人間が長期間にわたって同じ個体を追跡するのが難しく、まだ年齢がよく分かっていない生き物も少なくありません。未知の部分が大きいことも、深海の研究を難しくしています。
短命な生き物と何が違うのか
寿命が短い生き物の中には、成長が速く、短い期間で繁殖する種類がたくさんいます。季節の変化が大きい場所では、限られた期間で子孫を残すことが生き残りにつながる場合もあります。一方、長寿の生き物には「急がない」タイプが多く見られます。成熟まで何十年もかかり、一度に大量の子どもを残すのではなく、長い時間をかけて繁殖する種類もあります。たとえばホッキョククジラは、成熟までおよそ25年かかり、出産間隔も数年あります。
こうした違いを見ると、長生きは単純に「体が丈夫だから」という話ではありません。生きている場所と、体の成長、繁殖、外敵への対応が組み合わさった結果です。では、ここからいよいよ年齢の桁が変わる生き物たちを見ていきましょう。最初に登場するのは、動物園ではなかなか見かけない海底の生き物です。生き物にとって大切なのは、寿命の長さだけではありません。早く成長して繁殖する方法にも長所があります。
長寿は、自然界にある数多くの生存戦略の一つとして見ると分かりやすいでしょう。
