親子でも「気持ちの名前」が役立つ
感情を言葉にする力は、大人だけの話ではありません。2026年の研究では、中国の就学前の子ども334人を対象に、感情を認識して言葉にする力と、感情を調整する力との関係が調べられました。さらに181人では14日間の日記形式の調査も行われ、子ども自身がその日に感情を言葉にした量が多い日は、その日の感情から早く立ち直る傾向が報告されました。
ただし、この研究は幼児を対象にしたもので、大人にそのまま同じ結果が出ると断定するものではありません。それでも、「怒っているね」「悔しかったんだね」「怖かったのかもしれないね」と感情の言葉を渡すことが、子どもの感情を理解する助けになる可能性を示す材料にはなります。親が正解を当てる必要はありません。「そう感じたのかな」と確認する姿勢のほうが大切です。
感情の言葉を教えるときは、大人が子どもの内心を決めつけないことも大切です。「悲しいのかな?」のように尋ねると、子ども自身が違う言葉を選ぶ余地を残せます。
「泣かないの」と言う前に名前をつける
子どもが泣いたとき、「もう泣かない」「そんなことで怒らない」と言いたくなることがあります。しかし、それだけでは感情そのものを否定されたと感じる場合があります。そこで「悲しかったのかな」「悔しかったんだね」と言葉を添えると、感情を認識する手助けになります。これは甘やかすこととは違います。感情を受け止めたうえで、必要なルールを伝えることはできます。
たとえば「怒っているのは分かった。でも、人をたたくのはやめよう」と言えば、感情と行動を分けられます。感情はそのまま認め、行動には境界線を引く方法です。大人同士でも考え方は同じです。「腹が立つ」と感じること自体は自然でも、その感情をどう行動に変えるかは別問題です。言葉にすることで、この二つを分けて扱いやすくなります。
ここでも、感情を認めることと行動を許すことは別です。「怒っているのは分かった。でも叩かない」というように、感情と行動を分けて伝えられます。次は、言葉にした感情を事実そのものと混同しないための注意点と、自分を責めないための考え方です。
